蕎麦切り 酒「大愚」@新橋 ★★★★★

2011.11.15

「酒を飲まない方入店お断り」の蕎麦屋とは

IMG_0031.jpg米で育った鶏の卵だから黄身が白い。よって卵焼きも白い。IMG_0033.jpg百合根饅頭。味付け最高。IMG_0034.jpg厳選された鶏は味わい深い。しばらく前に雑誌の蕎麦屋特集を立ち読みして、気になっていた店だった。ビールは酒に入るのか、などというのは、小学校の遠足でバナナはおやつなのかという議論と同じに無意味で、店主の心意気とポリシー、この蕎麦屋はこういう蕎麦屋ですよ、というアピールの一つに過ぎない。嫌なら行かなければ良いだけのことで、日本酒党の我々には願ったり叶ったりだ。
蕎麦前は、酒肴も酒も素晴らしい。カウンターのみ8席程度の小体な店を店主が一人で切り盛りする。鶏を焼くのも、卵焼きも、全て注文を受けてからの仕事。黙々と、しかし的確に仕事をこなして行く職人らしさに好感を抱く。

潔い蕎麦

IMG_0035.jpg味わい深く、香り高い。IMG_0036.jpg楽しみにしていた水茄子蕎麦真面目に、自分が信じるところをやり切っています、という潔さを感じる蕎麦だ。店名に沿って「愚直」という言葉が思い浮かぶが、そこに漂う「頑さ」のイメージとは無縁で、懐の深さや柔軟性を感じる。個人的には田舎蕎麦はもう少し固茹ででエッジが立ったものが好きなのだが、噛むほどに香りが口中に広がり、味は素晴らしかった。
小体なせいもあるが、予約がとりにくく、また、ふらりと立ち寄ることもできない。近くに居たらふらりと寄るような使い方をしたい店なのだが、当分は難しそうだ。

TEL:03-3597-0359 住所:東京都港区西新橋1-19-10
せいろ・田舎:840円  

紹介記事

生粉打ち「花乃蕎麦」@人形町 ★★★☆☆

2011.9.14

母子で切り盛りする温かな店。

IMG_0412.JPG定番の蕎麦前は盛り合わせIMG_0413.JPG胃を温める小さなかけそばIMG_0416.JPG季節の野菜天婦羅十割にこだわった下町育ちの女将が打ち、息子がホールを担当する。蕎麦前も何か傑出したものがあるワケではないが、それぞれが標準以上で、安心して楽しむことができる。店内はアットホームな空気に満ち、相応の味が供されていると感じた。
スタートして間もなく供された小さなかけそばにば、胃を温めて消化能力を促進させることで悪酔いなどを防止させる効果があるそうで、こうした心遣いが素直にうれしくなる店だ。

甘めの汁に相性良い優しい蕎麦

IMG_0418.JPGみずみずしいせいろIMG_0419.JPG限定の太打ちIMG_0417.JPG太打ちで作る揚げ蕎麦蕎麦はみずみずしく爽やか。香りはそれほど強く主張してこないが、甘めの汁との相性は良く、全体に優しくまとまっている。限定の「太打ち」は、ひもかわかと見紛うインパクト。食感はそれなりに楽しめたが、味は輪郭がぼやけてしまった感がある。これで作られる揚げ蕎麦は面白い。

TEL:03-5641-6938 住所:東京都中央区日本橋堀留町1-6-5
せいろ:880円

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信州更科蕎麦処 築地さらしなの里@築地 ★★☆☆☆

2011.8.24

蕎麦前はまずまず。

IMG_0403.JPG枝豆・卵焼き・浅利のぬた。IMG_0405.JPG「粗挽き」の方をチョイス。IMG_0406.JPG夏野菜のおひたしと、蕎麦味噌にはキュウリが添えられた。注文の都度茹でられる枝豆は美味、ぬたの味付けもOK、蕎麦味噌は新鮮なキュウリが添えられてくる。それぞれ素材の良さを感じるが、全体としては「まずまず」といったところか。
そばがきはサイズと使用する蕎麦粉の挽き方でバリエーションがある。香りが強いという「粗挽き」を試したが、期待したほどに蕎麦の香りは立ってこない。どれを頼んでも「大外れ」は無く、気安く楽しめるということは良いのだが、こちらに「味わってやろう」などという気合いが乗ってしまうと、少々肩透かしを食らわされる。気が向いたらすっと入って、サクッと食べて、長居せずにさっさと切り上げる。そんな使い方をするべき店なのだろう。

蕎麦は残念。

IMG_0407.JPGIMG_0408.JPG楽しみにしていた水茄子蕎麦IMG_0409.JPG鴨南蛮残念ながら蕎麦は我々が好むタイプではなかった。
せいろ系は、生粉打ちや変わり蕎麦を含めると4種類あって、全て食したが、いずれも香りに乏しく、エッジは無く、水切りが良過ぎるのか茹で過ぎなのかすぐ乾く。汁は甘さが残って飽きる感じ。
ブログで評判となっていた季節限定の「水茄子蕎麦」は、水茄子の味と食感はさわやかだし、氷も入って涼やかでもあるのだが、肝心の蕎麦の味が薄過ぎる。暑いときに何か冷たいものを食した、というように、蕎麦の印象が残らない。蕎麦にぶっかけの汁が馴染まず、ぶっかけ系によくある「蕎麦と汁と具材が混然一体となった相乗パワー」は感じられなかった。

TEL:03-3541-7343 住所:東京都中央区築地3-3-9
もり・かけ:735円 ビール:生中(プレミアムモルツ)650円 

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銀蕎麦「國定」銀座店@銀座 (筆者欠席に付き無判定)

2011.7.14

うーん、行けなくって良かったかも。。。

筆者、急病を患い欠席したため、参加者からのコメントを付す。
「國定は味、サービス、店の雰囲気ともにいまひとつでした。特に土地柄か「ホステス同伴」のお客が多いのは、渋好みの私たちには興ざめでした。勝どき國定のほうが、つまみが豊富で安く雰囲気もいいので、遠いですが、いつか勝どきにもチャレンジしましょう。」

「完全に同伴用のお店でした。店員は、お揃いのTシャツを着て、蕎麦屋というよりも、居酒屋の雰囲気。でも、蕎麦屋なので同伴に使用されている・・・といういまひとつよくわからない構成。
満席だった為なのか、サービスはいまひとつでした。禁煙でもないし。寄せ豆腐はおいしかったです。なんとなくせいろを頼む気がしませんでした。ただし、量は多かったです。金額は・・・あれ?いくらでしたっけ?安くはなかった感覚がありますが・・・!?他も忘れちゃった・・・
というわけで、印象に残ることがなかったということで、ご報告を終らせていただきまする~。」

TEL:03-3572-2715 住所:東京都中央区銀座6-4-16

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蕎麦流石はなれ@新富町 ★★★★☆

2011.5.25 & 6.15

完全予約制・目の前で粉から打ち上がる蕎麦を食す。

IMG_0328.JPGこれほどまでに軽く、味わいのしっかりした蕎麦掻きは初めて。IMG_0325.JPG石臼挽きに挑戦。IMG_0318.JPG口取りがわりに供されたゴマだれ蕎麦。甘過ぎず美味。10席ほどのL字型のカウンターはゆったりとして落ち着いた気分にさせてくれる。カウンターの向こうには店主が一人、蕎麦前の酒肴や酒の世話、さらにメインの十割蕎麦は粉から打って供する。我々のような蕎麦も好きだが飲むことも好き、という面々にとってはこの上ない贅沢な時間。
料理はお任せで、蕎麦の変化球からシンプルな酒肴まで幅広い。特筆すべきは、挽きたての粉を使って即時に作られた蕎麦掻きか。いくらでも食べられそうな軽くてフワッフワの食感なのに、香りも味もしっかりと主張してくる。初めての体験だ。
酒の揃えも良い。東日本大震災によって幻の酒となってしまった「伯楽星」にも出会えたし、「院殿 綿屋」は米の味はしっかりしながらも飲み口はさわやかで、飽きないし料理の邪魔をしない。

IMG_0341.JPG決して急がず、ゆったりと見えるのだが。動きに無駄がないのだろう。IMG_0353.JPG油揚げとネギだけのシンプルな温かい蕎麦。酒にも合う。IMG_0350.JPG矢守さん、ありがとうございました。客の顔を見てから打つのだから当然ではあるが、それにしても蕎麦打ちの所作のスピードには驚かされた。十割なのに、水回しから粉がまとまり始めるまでの時間の短いことといったら。VTRの早回しを見ているような気分。また、打粉はほんの僅かしか使われなかった。供された蕎麦は、味の深い汁との相性抜群。

大殿、修行の成果や如何に

IMG_0388.JPG見事に大役を果たされて、安堵と満足感でご満悦の大殿。IMG_0381.JPG我々の目の前で大殿が打った作品。初十割とは思えない出来栄え。IMG_0367.JPGこの日はゲスト参加の芳江師匠のファンからの差し入れシャンパンでスタート。はてさて、店主の矢守さんに惚れ込んだ大殿は、その場で弟子入りを志願。粘り腰で交渉し、マン・ツー・マンでの修行日程を決めてしまった。よって自動的に6月の当会日程も決定、大殿は昼から修行し、我々は夕方集合してその様子を伺おうということに。
昼から2回ほど修行され、そして最後は我々の前で「本番」を。大殿は、十割を打つのはこの日が初めてとのことであったが、粉の計量から打ち終わるまで約40分、素晴らしい手際の良さ。水回しは師匠である店主からもお墨付き。完成した蕎麦はコシも強く、ストレートな味わい。おめでとうございました&お疲れさまでした。

大殿の「本番」ダイジェスト・ムービーは下記。ダブルクリックしてください。


TEL:03-6228-3870 住所:東京都中央区湊3-13-15

食べログ

佶更@白金台 ★★★★★/2

2011.4.20

今年一番!

IMG_0254.JPG茗荷と那須の和え物。酒の進む一品。IMG_0253.JPG砂肝の唐揚げ。鶏の竜田揚げもあり、新鮮で良い素材を使っているので臭みがない。IMG_0259.JPG鴨焼き。それぞれソテーした後に合わせて炊いたのか。出汁も美味。北里大学の程近く、通りに面していても特に目立った看板やサインもないので、この前を知らずに通り過ぎていたことがあったとすれば大いに悔やむことになったはずだ。
結論から言うと、現時点では「今年一番」の蕎麦屋である。蕎麦・蕎麦前・店の雰囲気・ホスピタリティ・コストパフォーマンス、いずれにおいても極めて満足度が高い。
酒肴は、〆鯖・〆鰯や刺身盛り合わせなどから砂肝唐揚げ・鶏の竜田揚げまで幅広い。こうした蕎麦屋の定番酒肴以外のメニューを置いたときにありがちな、素材のイマイチ感が全く無く、砂肝は新鮮で嫌な臭みもなくジューシーだし、〆鯖は脂のノリと酢の加減が絶妙であと引く旨さだ。
酒は種類こそ多くはないが、この店の酒肴や蕎麦に良く合うものを吟味して揃えられたものであることが明らかだ。今回は最初から最後まで「獺祭」であったが、決して飲み飽きること無く終わることができたのは、酒肴や蕎麦との相性が良かったからだと思う。

アーティストである主人の飾らない人柄そのままの銘店

IMG_0265.JPG作品と共に、ご主人と徒歩5分のご近所さんである塩塗り姫IMG_0261.JPGこれは大盛り。薄い麺に、旨みのある汁が良く絡む。蕎麦は限りなく「薄い」。「細い」ではなく、あくまで「薄い」のだが、それでいながら喉越しは心地良く、香りと味も十分に楽しむことができる。なんといっても柔らかく旨みを含んだ汁との相性が抜群なのだ。種モノの「たぬき蕎麦」もいただいたが、温かい汁になっても伸びること無く、むしろ蕎麦の香りが感じやすくなるくらい。
文字のアーティストであるご主人は、気さくで笑顔の素敵な御仁。

太打ちや田舎蕎麦を好む筆者の個人的な嗜好で★4.5にさせていただいたが、コストパフォーマンスを含めて久しぶりに良い店に巡り会ったと感動した。こんな銘店を近所に擁する塩塗り姫がうらやましい。


TEL:03-5422-8311 住所:東京都港区白金5-10-12 (北里研究所病院そば)
ざる・かけ 650円、ビール(中瓶) 600円  酒 700円〜

お店のホームページ

麹也@木挽町 ★★★★☆

2011.3.10

「塩ぬり姫」の祝勝会!

IMG_0234.JPG春が、来たIMG_0235.JPGタコと胡瓜を梅肉で。程よい酸味と塩味に燗酒がすすむ。IMG_0238.JPG前回欠席の二人。女性は、強し。。。先月の例会を兼ねた「塩ぬり姫 東京マラソン応援企画」のベースキャンプであった「麹也」を再訪。今回は「塩ぬり姫 祝勝会」である。
相変わらずショック冷めやらず、何かにつけてネガティヴストロークを投げかける狭量「若」には困ったものだが、「塩ぬり姫」当人はそれを知ってか知らずか「気持よかった〜!」の連発。。。
本日は、ある程度の酒肴は事前にお任せしてあり、季節感あふれた皿から始まった。ホタルイカは火の通り方が最高で甘味がある。筆者は、本日は最初から燗酒で。

蕎麦と汁、それらがあいまった「第三の味」。

IMG_0239.JPGどこまでもシンプル。奇をてらわない、真面目な蕎麦。IMG_0240.JPGこの細さにして、このエッジ。十割蕎麦も、店ごとに異なった趣になるのは当然が、「十割は喉越しが良くないから、二八が良い」と言う輩は、一度「麹也」の細打ちを食してみるべきだ。味・香り・コシ・汁との相性・・・それぞれ際立ったものがあるわけではないのだが、一口食べて呑み込んだ後、しばしして全員がつぶやく、「・・・美味しい」と。この「・・・」の時間、そう、喉越し・蕎麦の戻り香・汁と渾然となった新たな甘味などなど、これら蕎麦と汁以外の「第三の味」を楽しむほんの何秒か時間が、蕎麦には重要なのだと思う。
きりりと端正にまとまった中に、優しい甘さをたたえた「麹也」の蕎麦。店主と蕎麦は、一体だ。


TEL:03-3546-2588 住所:東京都中央区銀座2-14-5 サンコービルB1
手打十割蕎麦(細打ち・太打ち) 800円、酒 850円〜

食べログ

麹也@木挽町 ★★★★☆

2011.2.27

部員の「塩ぬり姫」、初マラソンの東京マラソン2011を4時間16分を切って完走!

IMG_0230.JPGおめでとう!IMG_0225.JPG塩ぬり姫の爆走タイムのショックから壊れた先輩ランナー2名我らが愛する「麹也」をベースキャンプに東京マラソンを応援しよう、というとんでもない企画が実現。銀座中央通り伊東屋向かい側の25キロ地点で応援→「麹也」でビール→新富町37キロ地点で応援→「麹也」で宴会。と、完走ゴールした塩ぬり姫から電話が入る。めちゃくちゃ元気。おめでとう!

身贔屓なんかじゃあない、抜群の安定感。本日の細打ちは最高!

IMG_0229.JPG十割らしい味と香り。IMG_0221.JPG利酒師の女将セレクションの酒は、飲み飽きないものばかり。おまかせコースの酒肴は酒に合うものばかり。「貴」をチロリでぬる燗に。程よい香りとすっきりした飲み口で飽きない。
さて、最後に供される蕎麦は「細打ち」「太打ち」があるが、本日は喉越しの良い「細打ち」。ここの蕎麦は以前から味がしっかりとしていて旨みがあり、汁との相性も良いので立体感があった。開店当初こそバラツキはあったけれど、近年はずっと安定していると思う。
原料の蕎麦自体の出来は毎年変わる。昨年は北海道幌加内は不作であったそうだ。産地が異なる蕎麦粉をブレンドすることは珍しいことではないが、この日の「工夫」はバッチリ決まっていた。
個人的には、この日は特に「水切り」が素晴らしい具合であったのだと思う。エッジが立って歯応えが良くなり、さらに蕎麦の味と香りも濃く感じる。「蕎麦を食った」という余韻を長く楽しむことができた。


TEL:03-3546-2588 住所:東京都中央区銀座2-14-5 サンコービルB1
手打十割蕎麦(細打ち・太打ち) 800円、酒 850円〜

食べログ

川むら@日暮里 ★★★☆☆

2011.1.11

雰囲気は「近所の蕎麦屋」なのだが、酒肴はユニーク

IMG_0169.JPG「喜楽長」のたる酒(600円)は甘めだが、升の香りのおかげでどんどん飲める。IMG_0170.JPGネギとマグロで「ねぎま」テーブルの上にメニューとは別に置かれた「本日のおすすめ」には、まぐろ・寒ぶり・生ウニ・小柱などの刺身が並ぶ。「蕎麦屋の玉子焼き」「板わさ」など蕎麦屋定番の品もあるのだが、ひときわ異彩を放つのが、写真の「ねぎま鍋」。江戸期から続く料理法で人形町の「よし梅」が専門店だが、こちらはマグロとネギのみの基本形、しかも下仁田葱をたっぷりと使ってあってネギの甘さが楽しめる。鮪もひとくちサイズの小振りなブツ切りだが、美味。
蕎麦前の日本酒の揃えも素晴らしく、超レアなものがあるわけではないが、平均以上のレベルのものばかり800円程度から楽しめるのはありがたい。一方でビールはサッポロの「白穂乃香」のみ、焼酎も芋・麦・米・蕎麦それぞれ一種づつしか置いていないというのは、店主のこだわりか。

安定的に及第点をとり続ける店。新年一軒目として上々の滑り出し。本年もよろしくです。

IMG_0171.JPG海苔が邪魔をする、という初体験。別にもりを追加した。蕎麦は細いがエッジもあって食べ応えあり。ただ、蕎麦の香りがいま一つ弱いことと、逆に乗せられた海苔の味が乱暴過ぎてバランスが悪い。汁も出汁が弱くパワーに欠けた印象。
店員の応対も明るく元気があるし、せいろ1枚600円は値段相応だから、決して損な気分にはさせない店だ。近所にあって普段使いできればなあ、と思った。


TEL:03-3821-0737 住所:東京都荒川区西日暮里3-2-1
せいろ・かけ 600円、ざる 750円、ビール 600円、酒 600円〜

食べログ